DITA概説書

DITA概説書

DITA概説書

本書は『Introduction to DITA』の邦訳にあたります。DITAコンソーシアムジャパンによる翻訳です。

DITAの基本的な考え方やドキュメントの作り方などについて一通り触れられているので、
これからDITAを始めようと考えている方は一冊手元にあるとつまづいたときの助けになるでしょう。

全体的に、個別の機能や概念に着目して詳細が書かれているため、詳しく知りたくなったときに読み返すと新しい発見がありそうです。

方向性として技術(仕様?)的な内容に寄っている印象はあり、ドキュメント全体の構成の仕方などの大きく見た作法についてはあまり書かれていません。
そのあたりは本書と同時に発表された『ライティングガイド』を併読するのがよいと思います。

本書を持ってDITAを導入しようとする場合、序盤の概念説明がかなりボリュームがありるので、とりあえずいじってみたい方には少々もどかしいかも知れません。
DITA-OTのセットアップについても解説がありますが、DITA-OTの最小構成版+必要なツール類のセットアップというやや手間のかかる方法で説明されています。
手間はかかりますが、必要なコンポーネントをきちんと把握するには良いでしょう。

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これらの情報は、おそらくその多くが英語圏では既に知られているものなのでしょう。
ともあれ、主に日本で発行するドキュメントを製作する方策についての解説書が日本語版で入手できるようになったのは嬉しいことです。

本書の良かったところ

リファレンス
基本の各トピックタイプの要素について一通り詳細が書かれているので、やっと英語版のリファレンスから開放されます。
特殊化(DTD)
DITA特殊化のDTDの書き方について、考え方からコードつきの事例までが掲載されていました。参考になります。これまでもIBMdeveloperWorksサイトで掲載はあったのですが、そちらはやや古いようで現行の流儀と少々異なる様子がありました。

残念だったところ

特殊化(XSL)
本書では、特殊化DTDで書いたドキュメントを独自のスタイルでアウトプットするためのXSLスタイルシートの書き方は掲載されていません。本格的にいじる場合にはもはやXML/XSLの解説になってしまうのでしょうが、導入部分だけでも触れられていると良かったかなと思います。